取扱製品/Product
環境関連
バイオマスプラスチック 事例1
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バイオマスプラスチックのマテリアルリサイクルに係る技術動向
バイオマスプラスチックのマテリアルリサイクルについては、市場での流通量が少ないこともあり、これまで検討された事例はほとんどありません。バイオマスプラスチックが大量に利用された「愛・地球博」(2005年)において、マテリアルリサイクルの実証実験が行われたのが数少ない1つと言えます。
株式会社東海化成様と弊社では、「愛・地球博」で使用された食器類の端材などを原料として、2005年秋の「おかやま国体」で使用されたプランターの製造など、PLA(生分解性ポリマー)のマテリアルリサイクルに係る実証実験を行っています。 -
リサイクル資材を使用した「プランター」の成形
財団法人バイオインダストリー協会・バイオプロセス実用化開発事業R&Dコンソーシアム様よりのご依頼により、「愛・地球博」で使用されたクリアカップの、成形時に発生した端材などをリペレット化したリサイクル資材を使用して「プランター」の成形を試みました。
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試作におけるポイントは、以下の通りです。
- ポリ乳酸原料にリサイクル資材を20%導入し、インジェクションにて成形を行いました。
- 樹脂の流れが遅くシボに樹脂が入り込んでしまい型が離れなかったためシボを極力削り型の抵抗を少なくしました。
- バリが張ってしまい型の離れも良くなかったため、成形機を大きいものに変更しました。
- 成形時に成形が一時的に止まったりして熱のかかる時間が長くなると、温度が分解温度に達して分解してしまう恐れがあるため、原料を滞留させないよう注意しました。
- 比重が大きく重量が重くなってしまうため、ポリ乳酸へ混錬したタルクの量を減らし比重を減らすよう検討しました。(PP:約0.95 今回:約1.41)
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クリアカップ回収品を用いて「育苗ポット」の成形
「愛・地球博」で使用されたクリアカップの回収品を用いて、「育苗ポット」の成形を試みました。
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試作におけるポイントは、以下の通りです。
- クリアカップを粉砕しました。
- 通常の生分解性育苗ポットに用いている原料に、粉砕原料を混ぜてブロー成形にて成形を行いました。
- 粉砕原料10%は成形には問題ありませんでしたが、20%~30%導入すると偏肉・成形不良となる確率が高くなりました。
- 育苗ポットがブロー成形なのに対して、クリアカップはブロー成形ではなく、樹脂の流れが異なると考えられます。そのため粉砕原料の割合が高くなるにつれて、成形不良品となってしまうと考えられます。
- 現状で商品として考えるならば、混合比率10%までが妥当であると考えられます。
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バイオリサイクルプランターの再々利用の実証
「おかやま国体」で使用されたバイオリサイクルプランターを、さらに再生化し成形することを検討しました。これについては、異なった素材を混ぜるのではなく、同じ素材のリサイクルのため樹脂同士が混ざらないという心配はありません。
ただし、一度使用したことで洗浄しても細かい汚れや不純物が付着している可能性が高く、不純物の付着度合いが製品にどう影響するかが検討課題となります。また、土や水(湿気)に触れていたため、少なからず分解が始まっていると考えられます。そのため、対応期間・耐久性の検討も必要です。これらにより、プランター粉砕後に十分な乾燥が必要であると思われます。